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「構造化」の先にある「問いを立てる力」。エンジニアからコンサルタントへの転換

「構造化」の先にある「問いを立てる力」。
エンジニアからコンサルタントへの転換

エンジニアとしてキャリアをスタートし、順調に実績を積み上げながらも「このままでいいのか」と自問自答したことはないでしょうか。本記事の前編では、外資系SIerから大手総合コンサルティングファームへと転身し、現在はクオンツ・コンサルティングで活躍する、アソシエイトパートナー加藤さんのキャリア初期に迫ります。営業における「スピードの重要性」など、本記事には専門性を超えたスキルを習得するためのヒントが凝縮されています。

キャリアのスタートと転機

―まずはこれまでの経歴についてお聞かせください。

2016年4月に新卒で外資系SIerに入社し、システムエンジニアとしてキャリアをスタートしました。入社後6ヶ月間は研修を通じてネットワーク構築やプログラミング等のITスキルを身につけ、その後は約1年3ヶ月、航空会社のチケット予約管理システムの刷新プロジェクトに参画し、主にシステムテストに従事していました。1年9ヶ月経過したタイミングで日系の大手総合コンサルティングファームに転職し、合計6年間、ITコンサルや戦略コンサルプロジェクトを幅広く経験しました。そして、2024年1月にクオンツ・コンサルティングのコンサルタント第1号として入社しました。

―外資系SIerから、大手総合コンサルティングファームへ移られたきっかけは何だったのでしょうか?

「このままシステムテストの専門家になりたいのか。そのための努力を惜しまず出来るのか。その成長過程を楽しめる自信はあるのか。」と自問自答していた時期がありました。その頃お会いした転職エージェントの方から、「加藤さん、弁護士が10年勤めた先に医者になれると思いますか。」と聞かれて、ハッとした事がきっかけです。その問いで、どの環境に自分の身を置くかの重要性に気づかされました。

専門性を極めるのも一つの道ですが、私は「より汎用的なビジネススキルを身につけ、企画や要件定義等の上流の仕事に取り組める環境」に身を置きたいという思いが強くなり、転職を考えはじめました。 私より先にコンサルティングファームへ転職した同期がいたことも影響しています。

「エンジニア」と「コンサルタント」の視点の融合

―事業戦略策定からシステム開発のPM支援まで幅広い領域をご経験されていますが、ご自身の中で「エンジニアの視点」と「コンサルタントの視点」はどのように融合させていますか?

前提として、「エンジニアの視点」と「コンサルタントの視点」を全くの別物として捉えているわけではありません。両者に共通しているのは、物事を感覚論ではなく構造的に捉える視点だと考えています。


その上で、エンジニアとしての経験を土台にしながら、コンサルタントとして特に意識的に強化してきたのが、「イシューを特定する視点」です。言い換えると、成果に最も直結する論点として、今、何を解くべきかを見極める力です。


システム開発においては、コードは定義されたことしか処理しないため、期待する挙動を実現するには、必要な要素を漏れなくコードとして記述することが求められます。故にエンジニアには、抜け漏れを許さない網羅性や完全性を重視した思考が強く求められます。


一方で、コンサルタントは、クライアントが期待する成果を実現するために、限られた経営資源(人・物・金・時間)をどこに、どの順番で投下すべきかを考え、時にはその実行まで伴走します。すべてを同列に扱うのではなく、最もインパクトの大きいレバーを特定し、優先順位をつけることが重要になります。


経営資源が限られている以上、すべての課題を解くことはできません。だからこそ、「何を解かないか」を含めて、より成果につながる問いを立てることが重要になります。この論点思考による優先順位付けは、コンサルタントならではの視点であり、私自身も身に付けるまでに大きな試行錯誤を要しました。 

―その「問いを立てる」というスキルはどのように身に着けたのでしょうか?

「依頼主が何に関心を持ち、どんな状況に置かれているのか」をできるだけ具体的に想像・言語化し、それを依頼主や上司、同僚に説明して、すると必ず、「この視点は抜けているんじゃないか」という指摘が返ってきます。そうしたフィードバックを受けながら、多様な視点を少しずつ自分の中に取り込み、その積み重ねで身に付いてきたのだと思います。


以前、上司から言われて今でも印象に残っている例えがあります。「最初は、目隠しをしながらキャッチボールをしているようなものだ」と。目隠しをしたままボールを投げると、当然、狙った方向には飛びません。「もう少し左」「今度は右」と言われながら投げ続け、少しずつ調整していく。


そのやり取りを重ねるうちに「相手はこのあたりに立っているんだな」という感覚が掴めてくる。そしてあるタイミングでふと気づくと、目隠しが外れ、視界がクリアに見える。


「依頼主が解くべき問いを立てる」スキルも同様で、多様な視点を得ながら構造を捉え直していく事で身に付けていったと思います。

―これまでのキャリアを通して、能動的にFBをもらうことは徹底してきたのですか?

そうですね。そうしないと思考を深化させることはできないですからね。思考を深める目的で他に実践したことでいうと、たとえば何か指示を受けたときに、ただ「わかりました」で終わらせるのではなく、「こういう理解で合っていますか?」と、自分の言葉で言い換えて確認することは、キャリアの早い段階から意識して徹底していました。そうした姿勢については、物事を深く理解する助けになりましたし、仕事への向き合い方として評価してもらえました。


また、純粋な興味として、「この人は普段どのようなインプットをしていて、なぜこの結論に至ったのか」という点が気になり、上司の思考プロセスを直接聞くことも多かったですね。そうしたやり取りを通じて、自分には無かった視点に気づき、それを少しずつ取り入れていきました。

―クオンツ入社当時はFBをくれる方はいましたか?
また、記憶に残っているエピソードはありますか?

はい。特に入社して間もない創業初期のフェーズでは、代表の佐上から、営業の進め方やメールの書き方、仕事におけるスピード感など、非常に実務的な点まで直接教えてもらいました。また、自分自身で案件を組成しにいく必要があったこともあり、社内の営業チームであるビジネスプロデューサーに、営業の考え方や具体的な動き方を相談することも多かったですね。プロジェクトのアプローチ、示唆の導出については、パートナーをはじめ多くのコンサルタントの方々から多大なフィードバックをいただいてきました。 

加藤➀

「語れる人生」を求め、クオンツへの参画を決断

―大手ファームで活躍されていた中で、設立間もないクオンツへ「コンサルタント第1号」として参画された動機は何だったのでしょうか?

大前提として、私自身がずっと大切にしている考えがあります。それは、「語れる人生を送りたい」ということです。人と同じ道を歩むよりも、あえて違う挑戦を選ぶことに価値を感じてきました。


ちょうど前職で6年が経ったタイミングで、この先さらに上のステージに進むためには、コンサルタントとしてのスキルだけでなく、「営業力」を本格的に高めていく必要があると感じていました。そのため、営業能力がより求められるポジションへの異動も検討していた時期でしたし、起業も選択肢にありました。そんな折に、クオンツ立ち上げのお話をいただきました。


以前から、「営業の力をつけたい」「いずれは事業の立ち上げにも挑戦してみたい」という想いが心のどこかにありました。クオンツであれば、これまでの経験を活かして貢献できる一方で、会社の看板がない状態から自ら案件を獲得しにいくという、より厳しい環境に身を置くことになります。その経験を通じてこそ、本当の意味での「自分の力」を磨けるのではないかと考え、参画を決めました。 

―社員数でいうと4人目。組織とも言えない状態だったと思いますが、入社の意思決定を後押ししたものは?

不安やリスクは、どのような意思決定をしても必ずついてくるものだと思っています。ただ、その中身が何か、という点が重要だと考えていました。


仮に会社がうまくいかなかったとしても、「大手コンサルファームでマネージャー経験があります」という人と、「実際にコンサルファームの立ち上げに携わった経験があります」という人がいたとき、どちらの話を聞きたいかと考えると、私は圧倒的に後者だと思ったんです。


後者であれば、次に何かを立ち上げるときに、「何がうまくいかなかったのか」「どうすればより良かったのか」を具体的に語ることができます。その経験は、失敗ではなく再現性につながる学びになる。そう考えると、それはもはやリスクではないなと思いました。


キャリアにはアップもダウンもなく、すべてが次につながる経験だ」と捉えていたこともあり、当時のクオンツに入社することに対して大きな不安を感じることはありませんでした。 

―当時まだ20代で、そのような大きな「決断」ができた理由を教えてください。

その時々の「縁」を大切にしてきたという点は大きいと思いますし、「今だからこそできる経験」に価値があると感じていました。また、キャリアを考える上で、私が一貫して重視している判断軸があります。それが、「無茶ぶりだと感じるかどうか」という点です。「少し無茶に感じるような挑戦にあえて取り組み、そこで成果を出す。その積み重ねが成長につながる。」という考えを持っていることも決断の背景にありました。 

(後編へ続く)