【クオンツ・コンサルティングOJT担当対談/前編】
新卒コンサルタントはどう育つか
入社から1年前後という早いタイミングで、新卒社員のOJTを担当する大釜さんと久保田さん。
前編では、お二人のこれまでのキャリアと現在担当しているプロジェクト、入社後に感じた裁量の変化、そして新卒OJT担当になった経緯と、日々の具体的な進め方について伺いました。
二人のキャリアと、現在の担当プロジェクト
―まずはこれまでのキャリアを教えてください。
大釜:新卒でベイカレントに入社し、主にITPMOなどの案件でキャリアを積みました。2025年1月にクオンツへ入社してから約1年半ほどになりますが、ITの上流から下流まで幅広いテーマで、DX企画やお客様のBPR、生成AIの活用支援などを担当しています。
(大釜さんインタビューはこちら:https://career.quants.co.jp/236/)
久保田:新卒で政府系金融機関に入社し、1年ほど債権回収業務や契約関連の業務を担当しました。その後、新興系のファームに約3年在籍し、M&Aの上流から下流までの支援や、事業戦略からファイナンスまで幅広く戦略領域を担当しておりました。2025年8月にクオンツへ転職してからは、引き続きM&Aに関する案件と、エグゼキューションと呼ばれる数字を扱う業務を重点的に担当しております。
―久保田さんがクオンツに入社を決めた理由を教えてください。
久保田:大きな理由のひとつは、経営者の存在です。
外資系ファームであれば海外本社の意向を伺う必要がありますし、近年増えている事業会社発のファームでは雇われ社長が多く、本体から派遣されてくるケースが一般的なため、経営者自身が「このファームをどうしていきたいか」というビジョンを明確に持っていないことも少なくありません。
一方、当社は代表の佐上が創業者であり、ビジョンや方針を経営者視点で明確に持っていることが強みだと感じました。現在、月に一度開催されている全社会議でも毎回明確に方針を示してくださっており、ビジョンを社員全員で共有できている点は非常に良い環境であると考えています。創業社長であるからこそ経営判断もスピード感があり、業界の中でもトップクラスの成長を遂げていると感じています。
―現在のプロジェクト内容についても教えてください。
大釜:現在のお客様は大手SIerで、メガバンク向けの基幹システム刷新の提案に関する支援を担当しています。具体的には、お客様がメガバンクへ提案するシステムの開発費やエンジニア単価の価格を説明するロジックを構築したり、数百ページ規模の提案書について社内外の経営層向けにエグゼクティブサマリーを作成したりと、幅広く対応しています。提案書の執筆を進める中でお客様が課題を感じている部分を柔軟に支援する形で業務を担当しています。
久保田:私は現在2件を担当しております。1つは大釜さんと同じ大手SIer向けに異なるテーマの支援を担当しています。具体的にはお客様が新たな市場に参入するにあたり、これまでの強みを活かした参入方法を検討するという内容で、抽象度の高いテーマを具体化する支援をしており、こちらにOJTとして新卒社員が入っています。
もう1つは、M&Aによる会社統合後の人事制度統合を支援するプロジェクトで、入社後から継続して8か月ほど担当しています。
前職と比較して見えてきた、裁量の変化
―これまでのキャリアと比較して、クオンツで感じる裁量の変化はありますか。
久保田:入社当初は、いちスタッフとしてプロジェクト内のタスク遂行が中心でした。現在はOJTを担当する中で、プロジェクトマネジメントに近い、成果物の定義や定例会の運営、それに向けた作業設計を担当させていただいています。それ以外にも、新規開拓の営業について自分主導でアポイントを取りに行く機会もいただいており、入社以降着実に裁量の大きな仕事に挑戦できている実感があります。
大釜:プロジェクトの規模やテーマが異なるため単純な比較は難しい部分もありますが、コミュニケーションを取る相手のレイヤーが大きく変わりました。また、入社当時から新卒採用に関わりたいとはずっと考えていて、実際に入社以降継続的に採用のタスクフォースチームに所属しながら新卒向けの採用コンテンツ作成等に関わらせていただいています。そこから派生して育成という観点でも新卒採用に関われるようになった点で、対お客様の業務意外の部分でも裁量の広がりを感じています。
新卒OJT担当になった経緯
―OJTを担当することになった経緯を教えてください。
大釜:以前から新卒育成に関わりたいという思いがあり、育成担当の方に継続してその意向を伝えていました。4月に新卒研修の講師やメンターを担当したことがきっかけとなり、OJTも担当することが決まりました。
久保田: 私の場合は、2つのプロジェクトを担当する中で特にSIer向けの案件について、メンバーを少し増やしたいなと考えていたところ、新卒社員が研修を終えてOJTを開始するタイミングと重なり、良い巡り合わせで実現しました。
OJTの進め方―任せ方・頻度・フィードバック
―具体的にどのようにOJTを進めているか、業務の任せ方や関わる頻度、フィードバックの方法などについて、詳しく教えてください。
大釜:関わる頻度としては、毎日必ず対面で一緒に仕事しています。私も新卒社員も基本的に平日はお客様先に常駐し、席を並べて業務にあたっています。フィードバックについても日次で振り返り内容を確認していますので、毎日必ず実施しています。
また、業務の任せ方としては、まずはお客様との会議に同席して議事録を作成してもらうといった基礎的な業務から始めました。ミーティング内でインプットした情報を構造的に整理してまとめることで、プロジェクトの理解も深まるので、まずは修正なく議事録を取れるようになるかという点は非常に大事です。その後、本人の成長スピードに基づいて段階的に内部会議のファシリテーションや、上司への報告業務なども任せていき、徐々に人前に立つ経験を積んでもらっています。
―どのような基準で任せる範囲を決めていますか?
大釜:明確な指標を設けるのは難しいですね。日々の振り返り内容を確認しながら、本人の状態を丁寧に見て少しずつ任せる範囲を広げています。任せる範囲については、新卒社員だから、あるいはアソシエイトだからといった制限は設けず、対応できそうな業務は基本的に何でも、私が担当している業務からも積極的に切り出して任せる方針です。
―久保田さんはいかがですか。
久保田:私の育成イメージは、大釜さんの方針とも似ていて、「自転車に乗れるようになるまでの過程」が一番近いと感じています。最初は私が「補助輪」の役割を担ってまずは走ってもらい、ふらついて倒れそうになった時に支える。それを繰り返しながら徐々に補助輪を外していき、走れる距離を伸ばして、最終的には自走してもらうというイメージで進めています。そのために、普段から向かいの席に座り、いつでも相談できる環境を整えています。その上で、業務の任せ方としてはまず一度「手本を見せること」を大切にしています。いきなり任せるのではなく、まずはタスクの根底にある「考え方」という土台を丁寧に説明し、その後に個別具体的な進め方を当てはめていく、という流れを意識しています。
また、これらとは別にスキル面での弱点も特定し、日々の1on1の中で補強しています。たとえば、簡易的なケース演習を通じて数字への苦手意識を減らしたり、経験の少ないグラフ作成をミニ課題として渡して短時間で取り組んでもらったり。それらを毎日確認し、その場でフィードバックする、といったことを継続しています。
育成方針のルーツ
―新卒社員の指導方法についてどのように考え方を築いていかれたのでしょうか。
大釜:私の場合は、前職の上司から受けた教育がベースになっています。これまで受けてきたフィードバックの仕方を意識しながら、新卒社員に対しては、見るべきところは厳しく指摘しつつも、普段は親しみやすい距離感で接するという、両面のバランスを意識して指導しています。
久保田:私は前職にコンサル未経験で入社した際に自分がした躓きや苦労を踏まえて「こうしてもらえたら嬉しいだろうな」という点を先回りして指導できるように意識しています。また、プロジェクトを進める中でこれまで上長にしていただいて嬉しかったことの蓄積もあるため、それも積極的に活かしています。
ストレッチ課題と、押さえるべきライン
―業務の切り出し方はOJTにおいて難しいポイントのひとつだと思いますが、お二人が意識されていることを教えてください。
久保田:私は、業務を渡す際に「そのタスクを任せる意図(期待値)」を事前に明確に伝えるよう意識しています。具体的には、次の2つのスタンスを使い分けています。
1つ目は、「ストレッチ(背伸び)課題」として渡すパターン。まだ実力が十分でない段階では、まずは私の模倣から入ってもらいますが、その上で「成長のための少し高めの目標だから、ぜひ挑戦してみてほしい。もし難しければ、時間をかけずにすぐ相談してね」と伝えます。もちろん、裏ではいつでも私がサポートできる体制をキープしておきます。
2つ目は、「自立を促す課題」。すでに経験があり、次は確実に一人でやり遂げてほしいタスクについては、あえて少し厳しめの期待値を伝えて任せます。このように意図を明確に分けることで、本人も迷わずに取り組めると考えています。
大釜: 私はできるだけ「本人に考えてもらうこと」を大切にしたいので、あえてタスクのすべてを細かく指示せず、ヒントを渡してまずは一度やってみてもらうアプローチを取っています。とはいえ、最初から難易度の高い仕事を丸投げするわけではありません。社内ミーティングの準備や資料作成など、万が一ミスをしても外部への影響が少ない業務からスモールステップで任せていきます。そして、出てきた成果物に対して徹底的にフィードバックを行い、本人の成長に合わせて徐々に任せるレベルを上げていくようにしています。
後編では、新卒社員が最初に直面する壁とその乗り越え方、心理的安全性の保ち方、成長を実感したエピソード、そして教える立場としての難しさやバックアップ体制、候補者へのメッセージについて伺います。
