クオンツ・コンサルティングの新卒研修って何をする?
【第2回】マインド・コミュニケーション編
今回取り上げるのは「マインド・コミュニケーション編」。マインドセット研修、アソシエイト研修、コミュニケーション研修の3つです。ロジカルシンキングやドキュメンテーションといったスキルを学ぶ前に、コンサルタントとしての土台を固める研修群で、第3回以降でご紹介するスキル系の研修も、この土台の上に積み上がっていきます。
第2回で紹介する3つの研修
マインドセット研修で「どんな姿勢で働くか」を固め、アソシエイト研修で「自分は何を期待されているか」を知り、コミュニケーション研修で「実際にどう振る舞うか」に落とし込んでいきます。
① マインドセット研修
マインドセット研修のゴールは、コンサルタントとしてキャリアを築くうえで持つべき考え方を正しく理解し、納得し、共感すること。そのうえで、今後の研修や実務における行動の拠り所として定着させることを目指します。
—出発点は「主役はクライアント、コンサルタントは企業参謀」
研修の最初に示されるのが、コンサルタントのあるべき姿です。コンサルタント自身は主役ではありません。課題を整理し、論点や仮説を磨き、資料を書きながら、クライアントがより良い意思決定をできるよう支える。それがコンサルタント、つまり「企業参謀」の役割だと位置づけています。
この考え方が、以降のすべての学びの起点になります。
—成長の3つの軸
企業参謀としての役割を果たすために、研修では成長を「自己成長」「チーム貢献」「クライアント貢献」の3つの軸で捉えます。3つの成長を別々に捉えるのではなく、中心にあるマインドセットのもとで行き来し続けることが大切だとされています。
ここでは、各軸から印象的なテーマをいくつかご紹介します。
①自己成長
コンサルティングの仕事に、同じ案件はありません。そのため研修では、思考法や経営戦略、会計、ITといった基本(定石)を身につけることと、業界の動きを日頃から追うことの両方が大切だと伝えられます。
②チーム貢献
チームの成果を高めるうえでは、自分一人が考えるより、上長が考える時間を確保したほうが効果的な場面も少なくありません。研修では、議事録やロジ周りといった仕事を自分から引き受け、上長の時間を生み出すことも大切なチーム貢献だと伝えられます。
③クライアント貢献
クライアント貢献では、「Day0, Day1」という考え方が紹介されます。Day0はプロジェクトが始まる前、Day1はプロジェクト初日のことです。
研修で求められるのは、初日から頑張ることではなく、初日までに準備を済ませておくことです。業界やテーマに関する本を読み、論点や仮説を考えておくことで、初日からクライアントの信頼を得やすくなります。
—価値を出し切るために、自分を壊さない
研修の最後に扱われるのが、フィードバックや挑戦との向き合い方です。
厳しい指摘を受けたとき、「自分の価値を否定された」と受け止めてしまうと、自信を失い、挑戦を避けるようになってしまいます。研修では、指摘を「自分の判断力を磨く機会」として捉えること、そして自分が引き受けるべきことと、手放してよいことを冷静に見分けることの大切さが伝えられます。
② アソシエイト研修
アソシエイト研修は、新卒で入社した際の職位であるアソシエイト(AS)を対象とした職位別研修です。研修の目的は、大きく次の3つです。
・役割の明確化:ASに期待される人物像や要件を理解し、成長の土台をつくる
・ネットワークの強化:同期同士の交流を深め、支え合いながら成長できる関係をつくる
・ビジョン共有と動機付け:会社の目指す方向性を共有し、学ぶ意欲と向上心を高める
—クオンツが目指す人材像
研修ではまず、会社のミッション・ビジョン・バリューとあわせて、クオンツ・コンサルティングの社員に求められる3つのコアマインドが示されます。
・Can-Do精神
・圧倒的スピード意識
・ラストマンシップ
マーケットから選ばれ続けるファームであるために、職位に関係なく全員が身につけるべき姿勢として位置づけられています。
—ASに求められること、その先に広がる役割
研修では、職位ごとに求められる人物像と要件も整理されています。
ASのうちに何を身につければ次のステップにつながるのか。それが明確に見えるのも、この研修の特徴です。
—ASでも「プロ」として見られる
クライアントにとっては、「研修中」「勉強中」という立場は関係ありません。だからこそ、同じミスを繰り返さないこと、学んだことをすぐに次に活かすことが大切にされています。
一方で、ASにしか出せない価値もあります。クライアント先の現場にいる時間が長いASだからこそ、マネージャー以上のメンバーが入り込みにくい現場の課題や、移動時間・休憩時間のちょっとした会話から得られる情報を「足で稼ぐ」ことができます。
—基礎を固めるための3つの心構え
研修では、基礎を固めるための心構えとして次の3つが示されています。
あわせて伝えられるのが、「まず成果を出すことからすべてが始まる」という考え方です。まず成果を出して信頼を得ることで、はじめて相手に納得してもらえる関係が築けます。
—同期とつながるネットワーク構築ワーク
研修の後半では、同期のAS同士で相互理解を深めるグループワークが行われます。自己紹介と質問を順番に回しながら、コンサルタントとして大切にしたいことやこれまでの経験を語り合う内容です。ここで生まれたつながりが、配属後に悩んだとき相談し合える関係の土台になります。
③ コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のゴールは、コンサルタントとして信頼を築くコミュニケーションとは何かを理解し、今後の研修や実務における行動規範として定着させることです。
—コミュニケーションの価値は「受け取り手」が決める
学生時代の会話は、目的がなく思いついたままに話しても成り立ちます。一方、ビジネスでは、目的を持ち、相手が欲しい内容を、適切なタイミングと方法で渡すことが重要になります。コミュニケーションの価値は、話し手ではなく受け取り手によって決まるのです。
—信頼の「収支」という考え方
研修では、コミュニケーションを信頼の収支として捉えます。相手から信頼を得るには、加点を増やし、減点を減らすことが大切です。
敬語やクッション言葉を使う、わかったフリをしない、報告なのか相談なのか依頼なのかを明確にする、事実と解釈を分ける。こうした基礎的なルールは、当たり前のようでいて、信頼を損ねないための大切な土台です。
—コンサルタントのコミュニケーションが生む3つの価値
研修の核心となるのが、コンサルタントのコミュニケーションは単なる情報伝達ではなく、相手の意思決定・行動・認識に良い変化を起こして価値を上乗せするものだという考え方です。その価値は、次の3つで構成されます。
研修では、それぞれの価値を生むために具体的にどう振る舞えばよいのかを、会議や報告など身近な場面に当てはめながら学んでいきます。
—場面ごとに「何を見られているか」を学ぶ
研修では、会議・客先訪問・メール・チャット・日常の雑談という5つの場面について、クライアントに見られていることと価値の出し方を整理します。
会議での発言や成果物といった「公式な接点」だけでなく、すれ違ったときの挨拶や会議前後のひと言といった「非公式な接点」も信頼をつくります。公式な接点は能力を、非公式な接点は人柄を証明する。その両方が揃ったとき、はじめて「この人に任せたい」と思ってもらえるのです。
—実務に近いケースで演習する
研修の後半は演習です。社内への報告や相談、初対面のクライアントへのヒアリングなど、実際のプロジェクトで起こりうる場面を題材に、一人で考えて仮説を持ち、ペアやグループで共有し、フィードバックを受けて改善するサイクルで進めます。大切なのは「正解」を出すことではなく、なぜそう考えたのかという思考プロセスを言語化することです。
—意識ではなく「仕組み」で身につける
研修の最後に伝えられるのが、良いコミュニケーションは「気が利くこと」ではなく、基本的なルールを毎回実行する仕組みから生まれる、という考え方です。「仮説を持って聞く」「論点で話す」といった考え方は、次回ご紹介する思考力編の研修でさらに深めていきます。
3つの研修に共通すること
ここまで3つの研修をご紹介してきました。扱うテーマは異なりますが、根底には共通する考え方があります。
①「わかる」で終わらず「できる」を目指すこと。
②フィードバックを次の行動につなげること。
③価値を「相手」を起点に考えること。
これからクオンツ・コンサルティングを目指す方へ
今回ご紹介した研修の内容を読んで、「求められる基準が高い」と感じた方もいるかもしれません。確かに、クオンツ・コンサルティングではASの段階からプロとしての価値発揮が期待されます。だからこそ大切なのは、フィードバックを素直に受け止め、次の行動に活かし続けることです。今回ご紹介した3つの研修は、そのための土台を固める研修です。
